とある影の物語

「白と黒」の記事を書いていて思い出したのが、昔よく読んだアンデルセンの『影』という物語。

深いところでよく似ているなぁと。

お話はかなりシンプルなんですが、あらすじを簡単にご紹介します。

寒い国の若い学者が暑い国に呼ばれます。

ですが暑さに参ってしまい、部屋に引きこもる毎日。

ある日のこと、夜になり涼しくなったのでランプを灯すと、影が長く伸びています。学者はホッとして外を眺めました。

伸びた影の先にある家には、いつも音楽を奏でている人が住んでいるのですが、誰もその住人のことを知らないのです。

学者の影はその家に入り込んでしまいました。

ある朝、学者が久し振りに外に出てみると、自分の影が無くなっていることに気がつきました。

ですが新しい影が生えてきたので、学者は任務を終え自分の国へ帰ります。

数年後、学者の家のドアをノックする者がいたので出てみると、派手で高級な身なりの男が立っており

「私はあなたの影です」

と言いました。

学者の影は社会で成功をおさめ、地位や財産を得て戻ってきたのです。

学者の「影」は、いわば元の自分である学者よりも、地位や財力を得て戻ってきました。

かつて入り込んだ家の住人の秘密を握り、ゆすることで一歩を踏み出したのだとか。

それから学者と影の立場が変化します。影は学者に「おまえ」と言い、学者は影に「あなた」と言います。

さらに数年後、貧しい学者に影が手当を支払い、旅に同行されます。

旅先で影と学者は王女に出会います。

影は今や影の奴隷となった学者に豊かな知識を語らせ、王女の気をひくことに成功。

教養のある学者がとても気に入った王女は、影の策略に引っかかり結婚を申し込みます。

影は学者に、自分が王女と結婚したらお金を渡す代わりに、ずっと影として生きて欲しい、と言われますが学者はそれを断りました。

影と王女の結婚式。

実は学者は結婚式の前に

「謀反を企てる影」

として、囚われて処刑されていたのでした。

最後に学者と学者の影は立場が逆転してしまいます。

元々は両方とも自分。

自分の中にある光と闇・白と黒です。

闇の部分と上手く付き合わないと、黒く落っこちてしまう黒の部分に自分が飲み込まれてしまうよ、ということなのかもしれませんね。

そして黒に引っ張られてついて行ってしまう王女も飲み込まれる。

もちろんこれは物語ですし、ここまで落っこちる方はそうそういないと思いますのでご安心くださいね(^^)

私の中で(まさにこれ!)と思いましたので、ご紹介させていただきました♪